田んぼとトラクター

これから農業を始める人が使える補助金5つ

2026年度(令和8年度)の最新情報。金額・条件・窓口を公式サイトで確認してまとめました。

📅 最終更新日:2026年9月21日 / 内容は農林水産省・日本政策金融公庫の公式サイトで確認しています。

農業を始めようと思ったとき、多くの人が最初にぶつかるのがお金の問題です。 トラクター1台で数百万円、ハウスを建てれば1,000万円を超えることもあります。 収入が入るのは作物を出荷したあとなので、最初の数年は「出ていくばかり」の時期が続きます。

国はこの時期を支えるための制度をいくつも用意しています。 ただ、制度名がどれも似ていて分かりにくいのが正直なところです。 この記事では、これから農業を始める人・始めたばかりの人(個人)が使える5つの制度を、 「どんな人が、いくらもらえるのか」から整理しました。

⚠️ 最初に必ずお読みください

補助金は「申請すれば必ずもらえる」ものではありません。 予算に上限があり、審査で落ちることがあります。

また、金額・条件・締切は年度ごとに変わり、年度の途中で変わることもあります。 この記事は2026年9月21日時点で公開されていた情報をまとめたものです。 申請の前に、必ず各制度の公式サイトと窓口(市町村の農政担当など)で最新の内容をご確認ください。

📋 目次

  1. まず知っておきたい3つのこと
  2. 5つの制度の早見表
  3. 「やりたいこと」から探す
  4. ① 就農準備資金 ── 研修中の生活費
  5. ② 経営開始資金 ── 始めた直後の生活費
  6. ③ 経営発展支援事業 ── 機械・ハウスの購入
  7. ④ 青年等就農資金 ── 無利子で借りる
  8. ⑤ 経営継承・発展等支援事業 ── 親から継ぐ人へ
  9. つまずきやすい3つの落とし穴
  10. どこに相談すればいいのか
  11. 📝 まとめ

まず知っておきたい3つのこと

個別の制度を見る前に、5つすべてに共通する前提を押さえておくと理解が早くなります。 ここを知らずに動くと、あとで「対象外でした」と言われることになります。

(1)「認定新規就農者」が、ほぼすべての入口になる

5つのうち3つが、「認定新規就農者」であることを条件にしています。

これは、市町村に「青年等就農計画」を提出して認めてもらう手続きのことです。 どんな作物を、どれくらいの面積で、何年後にいくらの所得を目指すのか、という計画書を出します。

審査や書類作成に時間がかかるため、補助金を使いたいと思ったら、まずこの認定の相談から始めるのが近道です。 窓口は市町村の農政担当課(農業委員会)です。

(2) 多くの制度に「49歳以下」の壁がある

国の新規就農支援の中心は若い担い手を増やすことにあるため、 年齢で線が引かれている制度がほとんどです。

この記事の5制度のうち4つが「就農時に49歳以下」を条件にしています。 50歳以上で就農する場合は、これらの多くが対象外になります。 その場合は、市町村・都道府県が独自にやっている制度を窓口で聞いてみてください。 年齢制限のない地域独自の支援がある場合があります。

💡 お金は「後払い」が基本です

補助金は、先に自分でお金を払い、あとから戻ってくる仕組みです。 「補助金が出るから買える」ではなく、「いったん自分で払える人が使える」と考えてください。

この立て替え分を用意できずに詰まる人が多いので、 後半で紹介する④の無利子融資と組み合わせるのが現実的な進め方になります。

(3) 買ってから申請しても、対象になりません

これは補助金全般に共通する、もっとも多い失敗です。 申請して「交付決定」の通知をもらう前に買ってしまうと、対象外になります。

「先に機械を買って、あとから補助金を申請しよう」は通用しません。 欲しい機械が見つかっても、まず窓口に相談するのが順番です。

5つの制度の早見表

まずは全体像です。細かい条件は次の章から1つずつ説明します。

制度名 どんな人向けか 金額の目安 返す必要 年齢
① 就農準備資金 研修を受けてから始めたい 月13.75万円
(年165万円・最長2年)
原則なし
※就農しないと返還
49歳以下
② 経営開始資金 始めたばかりで収入が不安定 月13.75万円
(年165万円・最長3年)
原則なし
※続けないと返還
49歳以下
③ 経営発展支援事業 機械・ハウスを買いたい 国費 上限500万円
(②を受ける人は250万円)
なし 49歳以下
④ 青年等就農資金 まとまった資金が要る 上限3,700万円
(無利子の融資)
あり
ただし利息はゼロ
原則49歳以下
⑤ 経営継承・発展等支援事業 親から農業を引き継ぐ 上限100万円 なし 制限なし

※ 表は横にスクロールできます。金額は2026年9月時点のものです。

🌱 ここがポイント

①と②は生活費、③は機械代、④は借入れ、⑤は後継者向けと、役割がはっきり分かれています。 「どれか1つを選ぶ」のではなく、時期に応じて順番に使っていくのが本来の形です。

研修中は①、就農したら②で生活を支えつつ、③で機械を買い、 足りない分を④で借りる ── というのが典型的な流れになります。

「やりたいこと」から探す

制度名から探すより、今やりたいことから逆に探すほうが早い場合があります。

これから始める
→ ① 就農準備資金 / ④ 青年等就農資金
生活費がほしい
→ ① 就農準備資金 / ② 経営開始資金
始めた直後
→ ② 経営開始資金 / ③ 経営発展支援事業
機械・ハウスを買う
→ ③ 経営発展支援事業 / ④ 青年等就農資金
お金を借りる(融資)
→ ④ 青年等就農資金
親の農業を継ぐ
→ ⑤ 経営継承・発展等支援事業

① 就農準備資金 ── 研修中の生活費を支える

農業を始めるための研修中、生活費として月13.75万円(年165万円)を最長2年もらえる制度です。

これから始める生活費がほしい

いきなり農業を始めるのではなく、まず研修を受けてから就農したい人のための制度です。 研修中は当然ながら収入がありません。その期間の生活を支えるのが目的です。

2026年度(令和8年度)から金額が引き上げられ、 月12.5万円だったものが月13.75万円になりました。年間で15万円の増額です。

就農準備資金
もらえる金額
月13.75万円(年間最大165万円)/最長2年
こんな人におすすめ
研修を受けてから農業を始めようと考えている、就農時49歳以下の人
主な条件
・就農時に49歳以下であること
・都道府県が認めた研修機関等で、おおむね年間1,200時間以上の研修を受けること
・独立して自分で経営する(または農業法人に就職する)ことを目指していること
・前年の世帯所得が原則600万円以下であること
お金の使い道
生活費(使い道の指定はありません)
申請の窓口
都道府県/市町村/青年農業者等育成センター
募集の時期
年度内に複数回。自治体ごとに異なるため、窓口へお問い合わせください
出典:農林水産省「就農準備資金・経営開始資金」
https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html
⚠️ 返還になる場合があります

「もらえるお金」ではありますが、次の場合は返還を求められます。

・研修終了後1年以内に、49歳以下で就農しなかったとき
・就農後、交付を受けた期間の1.5倍(最低2年)以上、農業を続けなかったとき

「とりあえずもらっておこう」という使い方ができる制度ではない、ということです。

② 経営開始資金 ── 始めた直後の生活費を支える

農業を始めた直後の生活費として、月13.75万円(年165万円)を最長3年もらえる制度です。

始めた直後生活費がほしい

①の研修が終わって実際に農業を始めたあとに使う制度です。 作物は植えてすぐ売れるわけではありません。経営が軌道に乗るまでの数年間を支えます。

こちらも2026年度から月13.75万円に増額されました。 最長3年なので、合計すると最大約495万円になります。

経営開始資金
もらえる金額
月13.75万円(年間最大165万円)/最長3年
こんな人におすすめ
独立して農業を始めたばかりで、収入が安定するまでの生活費に不安がある人
主な条件
・就農時に49歳以下であること
・独立・自営就農であること(自分名義で農地・機械を持ち、自分で経営していること)
・市町村から認定新規就農者の認定を受けていること
・前年の世帯所得が原則600万円以下であること
お金の使い道
生活費(使い道の指定はありません)
申請の窓口
市町村(農政担当課・農業委員会)
募集の時期
年度内に複数回。自治体ごとに異なるため、窓口へお問い合わせください
出典:農林水産省「就農準備資金・経営開始資金」
https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html

「独立・自営就農」という言葉に注意してください。 農業法人に就職して給料をもらう形(雇用就農)は、この制度の対象になりません。 農地も機械も自分の名義で、自分の責任で経営していることが必要です。

なお、前年の世帯所得が600万円を超えた場合や、適切な経営が行われていないと判断された場合は、 途中で交付が止まることがあります。

③ 経営発展支援事業 ── 機械・ハウスの購入を支える

就農直後にトラクターやハウスなどを買うとき、費用の半分(国費で上限500万円)を補助してくれる制度です。

始めた直後機械・ハウスを買う

ここからが金額の大きい制度です。 新規就農でいちばん重いのが初期投資で、これが原因で数年のうちに辞めてしまう人が少なくありません。 その設備投資を支えるのがこの制度です。

経営発展支援事業
補助の上限額
国費 上限500万円
※②経営開始資金を受ける人は、上限250万円になります
※特別枠(地域計画早期実現支援枠)では上限600万円
補助率
1/2(国費) ※都道府県の支援分の2倍を国が支援する仕組みです
こんな人におすすめ
就農にあたりトラクターやハウスなど初期投資が必要な、認定新規就農者
主な条件
・市町村から認定新規就農者の認定を受けていること(49歳以下)
・雇用就農資金を、現在も過去も受けていないこと
・都道府県がこの事業を実施していること(県によって募集の有無が違います)
お金の使い道
機械・施設の導入、家畜の導入、果樹や茶の改植、機械のリース料 など
申請の窓口
市町村を通じて都道府県へ
募集の時期
都道府県ごと。春の募集が多くなっています
出典:農林水産省「経営発展支援事業」
https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/hatten.html
※金額・要件は年度の実施要綱で必ずご確認ください
⚠️ ②と組み合わせると、上限が半分になります

②の経営開始資金(生活費)を受ける人は、③の上限が500万円ではなく250万円になります。

「生活費も機械代も満額もらえる」わけではない、ということです。 生活費を優先するか、機械代を優先するかは、就農1年目の計画を立てる段階で考えておく必要があります。 ここは窓口でよく相談してください。

④ 青年等就農資金 ── 利息ゼロで借りる

もらえるお金ではなく「借りるお金」ですが、利息はゼロ。最大3,700万円を17年以内で借りられます。

これから始めるお金を借りる(融資)機械・ハウスを買う

これだけは補助金ではなく融資(借入れ)です。当然、返す必要があります。

それでもこの記事に入れているのは、補助金だけでは資金が足りないことがほとんどだからです。 新規就農者は実績がないため民間の銀行から借りにくく、そのために用意されているのがこの制度です。

青年等就農資金(無利子融資)
借りられる金額
上限3,700万円(一部特認で1億円)
金利
無利子(利息の負担がありません)
返済の期間
17年以内 ※うち据置5年以内(最初の5年間は返済を待ってもらえます)
こんな人におすすめ
補助金だけでは資金が足りず、利息なしでまとまった額を借りたい認定新規就農者
主な条件
・市町村から認定新規就農者の認定を受けていること
・青年等就農計画が認定されていること
お金の使い道
機械・施設の取得、家畜の購入、借地料の一括支払い、運転資金 など
申請の窓口
日本政策金融公庫の各支店(JA・金融機関経由も可)
募集の時期
随時(決まった募集期間はありません)
出典:日本政策金融公庫「青年等就農資金」
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/seinen.html

「据置5年」が、この制度のいちばんありがたい部分だと思います。 借りてすぐ返済が始まると、収入が安定しない最初の数年がそのまま苦しくなります。 最初の5年は返済を待ってもらえるため、経営が形になってから返し始められます。

ただし借金であることに変わりはありません。 返せる見込みのある額だけを借りるという基本は、利息がゼロでも同じです。

⑤ 経営継承・発展等支援事業 ── 親から継ぐ人へ

親などから農業経営を引き継いだ後継者が、新しい取り組みをするときに上限100万円が出ます。

親の農業を継ぐ

ここまでの4つは「ゼロから始める人」向けでした。 これは親の農業を引き継ぐ人(後継者)のための制度です。 正確には「地域計画に位置づけられた先代から、経営の主宰権を譲り受けた後継者」が対象になります。

引き継いだあと、新しい作物に挑戦したり、直売や加工に手を広げたりする取り組みを支援します。 年齢の制限がないのも、ほかの制度と違う点です。

経営継承・発展等支援事業
補助の上限額
上限100万円
補助率
1/2(国)+市町村が同額を負担
こんな人におすすめ
親などから農業経営を引き継ぎ、新しい作物や売り方に挑戦したい後継者
主な条件
・地域計画に位置づけられた先代事業者から、経営の主宰権の移譲を受けた後継者であること
・市町村の採択を受けた経営発展計画を作ること
・市町村がこの事業を実施していること
お金の使い道
経営発展のための取り組み(機械・施設の導入、販路開拓 など。市町村により異なります)
申請の窓口
市町村
募集の時期
市町村ごと。春の募集が多くなっています
出典:農林水産省「経営継承・発展等支援事業」
https://www.maff.go.jp/j/keiei/keieikeisyou_hatten.html

注意したいのは、市町村がこの事業を実施していないと使えない点です。 国の制度ではありますが、市町村が半分を負担する仕組みのため、 お住まいの市町村がやっているかどうかを最初に確認してください。

つまずきやすい3つの落とし穴

制度の内容そのものより、手順を間違えて対象外になるケースのほうが多いのが実際のところです。 よくあるものを3つ挙げておきます。

1
先に買ってしまう

いちばん多い失敗です。「交付決定」の通知を受け取る前に購入すると、対象外になります。 いい中古機が出ていても、まず窓口に相談する。この順番だけは守ってください。

2
認定を受ける前に動いてしまう

②③④は、いずれも「認定新規就農者」であることが前提です。 この認定には市町村への計画提出と審査が必要で、時間がかかります。 「補助金を使いたい」と思った時点で、まず認定の相談から始めてください。

3
併用できない組み合わせを見落とす

③の経営発展支援事業は、雇用就農資金を受けたことがあると対象外です。 また②を受ける場合は③の上限が半分になります。 「全部もらう」ことはできないので、どれを優先するかを最初に決める必要があります。

どこに相談すればいいのか

この記事で全体像をつかんだら、次は実際の窓口です。 制度は同じでも、運用や募集時期は自治体によって違います。 最後は必ず、住んでいる地域の窓口で確認することになります。

まず行くべきは市町村の農政担当課

①〜⑤のうち4つが市町村を窓口にしています。 「認定新規就農者」の認定も市町村です。どこに行けばいいか迷ったら、ここで間違いありません。

都道府県の新規就農相談センター

研修先を探す段階なら、都道府県ごとに置かれている相談窓口が役に立ちます。 ①の就農準備資金は、ここが窓口になっている地域もあります。

日本政策金融公庫の支店

④の無利子融資の相談先です。借入れの話なので、金額の計画がある程度固まってからのほうが話が早く進みます。

💡 書類作成で困ったときは

事業計画書の作成でつまずく人は多いです。 行政書士・中小企業診断士など、補助金の申請書類を扱う専門家に相談する方法もあります。

なお、当ブログでは申請の代行や書類作成は行っておりません。 この記事は制度の情報をまとめたものです。手続きについては、上記の公的窓口か専門家へご相談ください。

📝 まとめ

農業を始めるお金の不安は、制度を知っているかどうかでずいぶん変わります。 ただ、補助金はあくまで「始めやすくするための道具」です。 もらえる額から逆算して計画を立てるのではなく、 やりたい農業の形を決めてから、それに合う制度を探す ── という順番のほうが、結局うまくいくように思います。

【免責事項・出典について】
本記事は2026年9月21日時点で各公式サイトに公開されていた情報をまとめたものです。 補助金・助成金の金額、要件、募集時期は年度ごとに変更され、年度の途中で変更されることもあります。 また、補助金は予算に上限があり、申請しても審査により採択されない場合があります。 申請にあたっては、必ず各制度の公式サイトの公募要領および窓口(市町村・都道府県・日本政策金融公庫など)で 最新の内容をご確認ください。本記事の情報にもとづく判断・行動について、当ブログは責任を負いかねます。

出典:
・農林水産省「就農準備資金・経営開始資金」 https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html
・農林水産省「経営発展支援事業」 https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/hatten.html
・農林水産省「経営継承・発展等支援事業」 https://www.maff.go.jp/j/keiei/keieikeisyou_hatten.html
・日本政策金融公庫「青年等就農資金」 https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/seinen.html