田んぼとトラクター

トラクターのグリスアップ

ニップルの場所と頻度。十字軸を割って5万円払った話から

📋 目次

  1. グリスアップを忘れるとどうなるか
  2. グリスニップルはどこにあるか
  3. 頻度は「週1回」より「使い終わったら」
  4. やり方と、覚えておくと楽なコツ
  5. 🛒 使っている道具
  6. 📝 まとめ
🌱 実体験:十字軸を割って5万円

畑を耕している最中に、後ろで大きな音がしました。振り返るとロータリーが回っていません。 エンジンを止めて確認すると、トラクターとロータリーをつないでいるユニバーサルジョイントの 十字軸が、弾けたように割れていました。

農機具店の方に見てもらったところ、「グリスアップをしていなかったせいで負荷がかかりすぎて 割れたのではないか」とのことでした。ジョイントは目立たないところに付いているので、 正直、そこにグリスニップルがあること自体を意識していませんでした。

部品が届くまで作業は中断。修理代ははっきり覚えていませんが、5万円は軽く超えました。 数分のグリスアップで防げた出費でした。

グリスアップを忘れるとどうなるか

グリスアップとは、機械の「回るところ」「動くところ」にグリス(潤滑用の油)を 補充する作業です。グリスニップルという小さな注入口が付いていて、そこから グリスガンで押し込みます。

グリスが切れると、金属どうしが直接こすれます。摩耗が急に進み、最後は部品が 壊れます。上の実体験のように、作業の真っ最中に止まると、修理代だけでなく 「作業ができない日数」も失うことになります。

⚠️ ユニバーサルジョイントは特に忘れられやすい

トラクターとロータリーをつなぐユニバーサルジョイント(PTOジョイント)は、 トラクターの後ろの低い位置にあって目に入りにくく、初心者がまず見落とす場所です。 ここが壊れると作業機に動力が伝わらなくなり、その日の作業が止まります。

グリスニップルはどこにあるか

グリスニップルは、頭が丸くて小さな金属の突起です。トラクターまわりでは、 大きく分けて2つの場所にあります。ここを分けて考えると、探すときに迷いません。

この記事でとくにお伝えしたいのは①のジョイント側です。 わたしが壊したのもここでした。

① ジョイント側 ── いちばん見落としやすいのはここ

ユニバーサルジョイントの十字軸 トラクターと作業機をつなぐシャフトの、折れ曲がって動く継ぎ目の部分です。 ここが、わたしが割った場所です。トラクターの後ろの低い位置にあって しゃがまないと見えないうえ、泥をかぶってニップルが埋もれていることもあります。 「グリスを入れる場所がここにある」と知らないまま何年も乗っている人が、 実際にいます(わたしがそうでした)。
トラクターと作業機をつなぐユニバーサルジョイント。上から伸びる棒の先にある折れ曲がる継ぎ目が十字軸。下側の黄色いラベルが貼られた側が作業機側
まず全体から。トラクターと作業機をつなぐユニバーサルジョイントです。上から伸びてきた棒の先に、折れ曲がるようになっている継ぎ目があります。これが十字軸です。写真の下側、黄色いラベルが貼ってあるほうが作業機側です
ユニバーサルジョイントの十字軸を正面から見たところ。中央の小さな突起がグリスニップル
その継ぎ目を正面から見たところ。中央にある小さな突起がグリスニップルです。ここにグリスガンの先を差し込みます。泥をかぶると埋もれて見えなくなります

② トラクター本体側

ジョイントのほかに、トラクターの車体そのものにもニップルが付いています。 代表的なのは前輪の車軸まわりと、ロータリーをつないでいるアームの付け根です。 後者は、作業機を付け外しするときに毎回さわっている、あのアームの根元だと思ってください。

ただし本体側は、ニップルの数も場所も機種によってかなり違います。 「どのトラクターにも必ずここにある」とは言えないので、お使いの機種の 取扱説明書にあるグリスアップ箇所の図を一度見てください。 どこに何個あるかが図で示されています。ここは実物と説明書で確認するのが確実です。

⚠️ 探し方のコツ

ジョイント側・本体側にかぎらず、農機具の「回転するところ」「曲がって動くところ」には ニップルが付いていることが多いと考えて探すと見つけやすくなります。 そういう場所を見つけたら、泥を拭ってニップルがないか確かめてみてください。

頻度は「週1回」より「使い終わったら」

教科書的には「週1回」と言われますが、実際の使い方に合わせると次のように 考えたほうが忘れにくく、機械にも優しいです。

基本:使い終わったら、しまう前にグリスアップ 農機具は毎日続けて使うものばかりではありません。「使ったら入れて、それから しまう」と決めておくと、作業とセットになるので忘れません。
同じ機械を毎日続けて使うときは、週1回 繁忙期などで同じ機械を長期間使い続ける場合は、途中でも週に1回は 補充しておくと安心です。
長くしまっていた機械は、使う前にもう一度 保管期間が長かった場合は、使い始める前にもグリスアップしておきましょう。

やり方と、覚えておくと楽なコツ

🚨 作業前に必ず

グリスアップは回転部を触る作業です。エンジンを止め、キーを抜き、PTOが 完全に止まったことを確認してから始めてください。作業機を上げた状態で下に もぐる場合は、必ず安全な台などで支えてください。油圧だけで支えた下に体を入れるのは 大変危険です。

1
ニップルの汚れを拭き取る 泥がついたまま押し込むと、砂を一緒に中へ送り込むことになります。 ウエスでニップルの頭をひと拭きしてから始めます。
2
グリスガンのノズルをまっすぐ押し当てる ニップルの頭にノズルの口をかぶせます。斜めだと漏れて入っていきません。
3
継ぎ目から古いグリスが出てくるまで入れる レバーを何回か握ると、十分に入ったところでニップルの近くの継ぎ目から 余分なグリスがはみ出してきます。これが「入った」の合図です。 見えないところに入れる作業なので、この合図を知っているかどうかで 安心感がまったく違います。
4
ノズルは「寝かせるように」抜く まっすぐ上に引き抜くと、ニップルごと一緒に取れてしまうことがあります。 ノズルの接続部を横に倒すようにして、こじりながら外すと安全です。
5
はみ出したグリスを拭く そのままにすると土やわらが付いて固まります。軽く拭き取っておきます。
⚠️ ストレートノズルだと届かない場所がある

グリスガンに最初から付いている真っすぐな金属ノズルだと、ユニバーサルジョイントの ニップルのように奥まった場所には当てにくいことがあります。 その場合はフレキシブルホース(曲がるホース)に付け替えると、 ぐっと作業が楽になります。1,000円ほどで買えて、これだけでグリスアップが 面倒でなくなります。

ユニバーサルジョイントのニップルに、グリスガンのフレキシブルホースを差し込んだ状態
フレキシブルホースの先端をニップルに差し込んだところ。十字軸のニップルは奥まった向きに付いているため、曲がるホースのほうが当てやすくなります

グリスの種類について

グリスは汎用品(万能グリース)で問題ありません。 ホームセンターや通販で売っている400gのカートリッジタイプが そのままグリスガンに入ります。

⚠️ 買うときの注意:グリスガンに入らないものがある

同じ「万能グリース」でも、手で絞るチューブ入りや、缶に入ったものが 売られています。これらはグリスガンにそのまま入りません。

グリスガンに入るのは、「ジャバラ」(蛇腹)と書かれた400gのカートリッジです。 プラスチックの筒に入っていて、グリスガンの筒にそのまま差し込めます。 商品名に「ジャバラ」または「カートリッジ」と「400g」が両方入っているかを 確認してから買ってください。

ただし特殊な機種や、メーカーが種類を指定している箇所もあります。 取扱説明書に指定がある場合は、そちらに従ってください。

🛒 使っている道具

※本ページはアフィリエイト広告を含んでいます。実際に私が使っているものです。

グリスガン(レバータイプ・400g)
グリース用フレキシブルホース(300mm)
万能グリース(ジャバラ400g・グリスガンにそのまま入るタイプ)

📝 まとめ

本記事は農業経験10年の筆者の実体験に基づく内容です。機種やメーカーによって 仕様・手順が異なる場合があります。作業前に必ずお使いの機種の取扱説明書を ご確認ください。記載内容の実施により生じた損害について、当方は責任を負いません。 判断に迷う場合は、購入した農機具店・メーカーにご相談ください。

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