畑を耕している最中に、後ろで大きな音がしました。振り返るとロータリーが回っていません。 エンジンを止めて確認すると、トラクターとロータリーをつないでいるユニバーサルジョイントの 十字軸が、弾けたように割れていました。
農機具店の方に見てもらったところ、「グリスアップをしていなかったせいで負荷がかかりすぎて 割れたのではないか」とのことでした。ジョイントは目立たないところに付いているので、 正直、そこにグリスニップルがあること自体を意識していませんでした。
部品が届くまで作業は中断。修理代ははっきり覚えていませんが、5万円は軽く超えました。 数分のグリスアップで防げた出費でした。
グリスアップを忘れるとどうなるか
グリスアップとは、機械の「回るところ」「動くところ」にグリス(潤滑用の油)を 補充する作業です。グリスニップルという小さな注入口が付いていて、そこから グリスガンで押し込みます。
グリスが切れると、金属どうしが直接こすれます。摩耗が急に進み、最後は部品が 壊れます。上の実体験のように、作業の真っ最中に止まると、修理代だけでなく 「作業ができない日数」も失うことになります。
トラクターとロータリーをつなぐユニバーサルジョイント(PTOジョイント)は、 トラクターの後ろの低い位置にあって目に入りにくく、初心者がまず見落とす場所です。 ここが壊れると作業機に動力が伝わらなくなり、その日の作業が止まります。
グリスニップルはどこにあるか
グリスニップルは、頭が丸くて小さな金属の突起です。トラクターまわりでは、 大きく分けて2つの場所にあります。ここを分けて考えると、探すときに迷いません。
- ① ジョイント側 … トラクターとロータリーをつなぐシャフト(ユニバーサルジョイント)。 取り外して持ち運べる、あの棒状の部品です
- ② トラクター本体側 … 前輪まわりや、作業機をつなぐアームの付け根など。車体に付いている部分です
この記事でとくにお伝えしたいのは①のジョイント側です。 わたしが壊したのもここでした。
① ジョイント側 ── いちばん見落としやすいのはここ
② トラクター本体側
ジョイントのほかに、トラクターの車体そのものにもニップルが付いています。 代表的なのは前輪の車軸まわりと、ロータリーをつないでいるアームの付け根です。 後者は、作業機を付け外しするときに毎回さわっている、あのアームの根元だと思ってください。
ただし本体側は、ニップルの数も場所も機種によってかなり違います。 「どのトラクターにも必ずここにある」とは言えないので、お使いの機種の 取扱説明書にあるグリスアップ箇所の図を一度見てください。 どこに何個あるかが図で示されています。ここは実物と説明書で確認するのが確実です。
ジョイント側・本体側にかぎらず、農機具の「回転するところ」「曲がって動くところ」には ニップルが付いていることが多いと考えて探すと見つけやすくなります。 そういう場所を見つけたら、泥を拭ってニップルがないか確かめてみてください。
頻度は「週1回」より「使い終わったら」
教科書的には「週1回」と言われますが、実際の使い方に合わせると次のように 考えたほうが忘れにくく、機械にも優しいです。
やり方と、覚えておくと楽なコツ
グリスアップは回転部を触る作業です。エンジンを止め、キーを抜き、PTOが 完全に止まったことを確認してから始めてください。作業機を上げた状態で下に もぐる場合は、必ず安全な台などで支えてください。油圧だけで支えた下に体を入れるのは 大変危険です。
グリスガンに最初から付いている真っすぐな金属ノズルだと、ユニバーサルジョイントの ニップルのように奥まった場所には当てにくいことがあります。 その場合はフレキシブルホース(曲がるホース)に付け替えると、 ぐっと作業が楽になります。1,000円ほどで買えて、これだけでグリスアップが 面倒でなくなります。
グリスの種類について
グリスは汎用品(万能グリース)で問題ありません。 ホームセンターや通販で売っている400gのカートリッジタイプが そのままグリスガンに入ります。
同じ「万能グリース」でも、手で絞るチューブ入りや、缶に入ったものが 売られています。これらはグリスガンにそのまま入りません。
グリスガンに入るのは、「ジャバラ」(蛇腹)と書かれた400gのカートリッジです。 プラスチックの筒に入っていて、グリスガンの筒にそのまま差し込めます。 商品名に「ジャバラ」または「カートリッジ」と「400g」が両方入っているかを 確認してから買ってください。
ただし特殊な機種や、メーカーが種類を指定している箇所もあります。 取扱説明書に指定がある場合は、そちらに従ってください。
🛒 使っている道具
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📝 まとめ
- グリス切れは金属摩耗を一気に進める。筆者はユニバーサルジョイントの十字軸を割り、5万円超と作業中断を経験した
- ニップルは①ジョイント側と②トラクター本体側に分かれている。分けて考えると探しやすい
- いちばん見落としやすいのは①のユニバーサルジョイントの十字軸。低い位置で泥をかぶり、気づきにくい
- ②本体側は数も場所も機種差が大きい。取扱説明書の図を一度見ておくのが確実
- 頻度は「使い終わったら、しまう前に」が基本。毎日続けて使うときは週1回、長くしまった後は使う前にも
- 入った合図は継ぎ目から余分なグリスがはみ出してくること
- ノズルは寝かせるように抜く。まっすぐ引くとニップルごと取れることがある
- 作業前にエンジン停止・キーを抜く・PTOの停止確認。グリスは汎用品でよい
本記事は農業経験10年の筆者の実体験に基づく内容です。機種やメーカーによって 仕様・手順が異なる場合があります。作業前に必ずお使いの機種の取扱説明書を ご確認ください。記載内容の実施により生じた損害について、当方は責任を負いません。 判断に迷う場合は、購入した農機具店・メーカーにご相談ください。